朝霞市で賃貸戸建てに雨漏りが発生
今回は貸家にお住まいの方から雨漏り発生のお知らせがあったようで、現地調査と修繕の依頼をいただきました。
貸家オーナー様のお悩み
賃貸オーナー様は前回の工事からそこまで年数が経っていないことから、コスト面からもできれば金属屋根カバー工事などの大規模なリフォームは避けたいとお考えでした。
通常雨漏りは一発で直ることは少ないのですが、今まで蓄積した知識と経験を最大限活用することでその確率を大幅に上げることができます。
ただ単に「屋根から雨漏りしているから金属で屋根カバーしちゃいましょう」というのは誰でもご提案できますが、お施主様の意向やお財布事情とも相談しながら工事を進めていくことが重要だと考えています。
まずは住民の方にヒアリング
住民の方のお話では、時期は分からないけど、気が付いたら天井付近にシミが出来ていたとのことです。
当初、「天井シミの位置関係から雨漏りの原因はサッシ(窓)絡みでは?」とのお話でしたが…
現地調査・雨漏り原因の考察
現地調査当日は天井裏(小屋裏)を見ることができなかったため、外からの調査のみになりました。
早速点検してみると、外壁はモルタルで、前回のリフォームでサッシ(窓)は交換をしたようで、外壁とサッシの間はコーキングが充填されている納めとなっています。
目視では、コーキングに著しい劣化は見られません。
サッシ上中間部(カッターを当てたところ)はカッターの刃が入ってしまいました。
が、
う~~ん、ここが切れていても、雨漏りするほど、水が侵入するかな…?
と、足元をみると緩い勾配のコロニアル屋根。
3寸以下の屋根勾配に、塗装の痕跡がありましたので、前回のリフォームで塗装していることは間違いありません。
これは単純に、前回の塗装の施工ミスによる不具合かもしれない。
超重要!屋根の縁切り
そう思い、屋根材同士の重ね部にカッターの刃を当てたところやはり前回の塗装塗膜が密着してスレートに隙間が無く、蓋がされている状態でした。
コロニアル屋根は、その重ね部から雨水が侵入しても通常は排出するような作りになっておりますが、重ね部を塗料などで塞いでしまうと「毛細管現象」などで雨水を吸い上げられ侵入した雨水が排出できず、コロニアル屋根材を屋根下地に固定している釘から雨水が侵入してしまうことがあります。
ましてや緩い勾配だと、雨水が留まりやすく、雨漏りの確率が高くなります。
そうならないために、一昔前は塗装してからカッターやスクレーパー(カワスキ)などでスレート同士をくっつけてしまった塗膜を一枚一枚切って隙間を作る「縁切り」という作業を行っていました。
ただこれには屋根を傷つけてしまう・せっかく塗った塗膜をはがしてしまうというデメリットがありました。
最近は株式会社セイムさんからタスペーサーという専用の建材が出たことにより、そういったデメリットなく縁切りができるようになりました。
お悩み解決方法
賃貸オーナー様はリフォームしてから年数が経っていないこともあり、当然大規模なリフォームはご希望されておりませんでした。
幸い雨漏りは躯体を腐らせてしまうほど広がっていなかったので、賃貸オーナー様と相談し、今回は屋根の縁切りを行うことでこれ以上雨漏り被害を広げないことで対応することといたしました。
- サッシ周りからの雨漏りの可能性も無きにしも非ずなので怪しい箇所をコーキングで増し打ち
- コロニアルのヒビ、割れ、部分をコーキングで補修。 (いくつもあるヒビ、割れは雨漏りが原因の可能性有り)
- コロニアル屋根重ね部の密着した塗装塗膜を切断。
この3点の工事を行い、様子を見て貰う事となりました。
万が一見立てが外れこの先雨漏りが止まらなければ、
- サッシ周りのコーキング増し打ち
- 粘着性下葺材を屋根に貼り様子を見て雨漏りが見られなければ、その後、金属屋根によるカバー工法をご提案、という流れなります。
最初に申し上げた通り、雨漏りで「いきなり金属屋根カバー工事」は誰でもご提案ができます。
原因を追究しないでカバー工事をしても他の箇所が原因なら意味がありませんから、原因追及を先行した方がよいと考えています。
前回の塗装で縁切りされていなかった訳
知識不足か手抜き工事だと思われます。
前回塗装した業者様が縁切りについて「知らなかった」か「知ってて手を抜いた」かはわかりませんが、どちらにしても賃貸オーナー様やお住まいの方からしたら大変残念な話です。
縁切りの重要性については他サイト様で大変多く語られておりますので割愛いたしますが、その縁切り作業にあたり、今は株式会社セイムさんが出しているタスペーサーという非常に便利な建材がどこでも手に入ります。
スレート屋根にタスペーサーを差し込むだけで隙間ができるので、塗装職人さんはその上から塗るだけでいいのです。
スレート同士の隙間が大きく空いていればこのタスペーサーも必要なく、そのまま塗ってしまっても大丈夫なのですが、今回のようなケースでは塗装時に縁切りは必須です。
屋根スレートの重ね部の隙間について補足
スレート同士の隙間が大きく空いているのは経年によりスレート材が反り返った影響も多く、この場合は決して良い状態とは言えません。
私は住宅板金専門店なので金属屋根カバーや外壁カバー・屋根葺き替え工事の分野になりますが、塗装でメンテナンスしていく場合はやはり定期的に塗り替えて経年による影響を一時停止させることが長持ちに繋がります。
ノンアスベスト屋根は特に経年による反り返りがアスベスト入りスレート屋根材と比較して顕著ですが、アスベスト入りスレート屋根材でもナショナルさんの製品だと反り返りが多い、など、やはり職人にしかわからない経験による目測が大切ですので、心配な場合は一度ご相談ください。